愛知県豊橋市にある株式会社丸金商会(MARUKINグループ)を訪問し、視察させて頂きました。昭和22年創業の株式会社丸金商会は、三河地方を中心に管工機材、住宅設備、 機械工具など8万点以上もの商品を販売しています。今回お話を頂いた竹内裕二社長は10年前より33歳の時に事業承継を行い、11期目を迎える3代目社長です。

このような環境においても、視察を受け入れて下さった竹内社長、遠方から現地にお越し頂いた皆様、またはオンラインにてご視聴頂いた皆様に、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。

<ハイブリッド視察の様子:現地とオンライン同時開催>

株式会社丸金商会は創業から73年、ライフラインである水に関連する管工機材や住宅設備、機械工具などの販売を通じて、地域の環境づくりに貢献してきました。先代がつくりあげた生涯顧客システムを形式化し、代々にわたって、現在もお取り引き先と末永いお付き合いをして頂けるよう、取り組んでおられます。

<丸金商会の生涯顧客システム>

【事業承継から社内の改善改革】
竹内社長が代表に就任された当初は、業績は伸びていたものの、一方で社内の一体感や各部署間の連携が良いとはとても言えない状態だったそうです。「改善」は社員主導で行う現場やマニュアルのカイゼン、「改革」は経営者主導で行う仕組みやフローのカイカク、と定義し社内の改善改革を進めてきました。とはいえ、「生涯顧客システム」のように初代から代々引き継がれてきた顧客資産と同様、会社の文化や考え方等、改善改革の中にも変えてはいけないものは何か、非常に悩まれながら取り組まれたそうです。
俳諧の理念に「不易流行」という教えがあります。 俳諧は新しみをもって生命とするから,常にその新しみを求めて変化を重ねていく流行性こそが俳諧の不易の本質であり、不易は俳諧の実現すべき価値の永遠性。流行はその実践における不断の変貌を意味すると説かれます。つまりは、これが会社の理念を深堀りしていく原点となり、間違った方向に流れないよう、改革にあたっては会長との報連相にも徹底されたそうです。

これらの具体的な取り組みをいくつかご紹介頂きました。

① 採用と人材育成
採用の持続や社員教育には常に注力し、新入社員教育セミナー、若手社員パワーアップセミナーなど、年間にわたって教育に力を入れています。竹内社長自身も「学び」を重視し、毎月5冊の本を読むことや年間50回以上のセミナーに参加されています。

② IT、AI化
手書きの日報が当たり前の時代に、仕事の効率を上げるためIT化を提唱、実行に移し、日報システムを導入しました。 これまで社員は手書きで日報を提出していましたが、これでは上長が確認し竹内社長のところへ回ってくるのには相当な時間がかかっていました。情報は鮮度。インターネットによる日報システムを導入することで瞬時に全社で共有ができるようになりました。
さらに販売管理システムを導入。これまでは1件1件手書きの伝票を入力し直していましたが、取引点数の多さから、受発注から入力に4日も掛かっている間に同じ取引先から追加の発注あったりで効率的な商品受け渡しができていませんでした。
また最近では、FAX受注のAI化や、経理処理、内部資料のIT化も取り組まれており、業務の正確性の向上や、出社ができない状況でも業務が滞らないようにされています。 新型コロナ対策を機会に、将来の有事に備えて働く環境の対応にも取り組まれています。

③ 働き方改革
会社主導での 「働き方改革」は 「働かせ方改革」で、形式的には変化があっても社員のモチベーションや環境改善にはつながらないと考えました。社員自らが自発的に取り組める仕組みとして、インセンティブを設けました。時短改革で、粗利達成+全員20時退社の場合、翌月全社員に現金1万円支給という制度を取っています。また決算賞与のオープン化、社内の各委員会の設置(親睦、エチケット、旅行、健康、経費削減)など、社員のモチベーションを最大限に上げ、自主的に考え実践する自走型組織を目指しています。

本社倉庫は、一日に2000点以上もの取引があることも>

これまで会社発信の表現となっていた経営理念の再構築にも着手しました。社員の自主性を高める意図で、会社ではなく「私たち」が取り組める表現に改め、経営理念は社内で応募しました。

「地域に笑顔を」
私たちは何事にも感謝し、本気で取り組みます。
私たちはお客様、家族、仲間と共に歩んでいきます。
私たちは事業活動を通して、地域に笑顔をお届けします。

【新規事業への取り組み】
少子高齢化により、今後商品の需要が減っていく中、働き手も不足していくことが明らかです。今後の本業の発展と継続を考え、さらに経営理念である「地域に笑顔を」深堀りしていった時に、事業の多角化に挑戦していくことを決意されました。
現在では、社員の定年退職後の再就職先や、産休育休からの復帰先の課題も現実に出てきました。生涯安心して働ける環境を整えるためにも、社会性や公共性の高い事業に積極的に取組んでいます。大企業が取り組む「SDGs」のような大規模なものではなく、地域が抱える課題を解決し、持続的な「Local SDGs」を掲げ、「地域に笑顔を」届ける事業を展開されています。

① 農業事業
まるきんファーム株式会社を立ち上げてイチゴ栽培と販売にチャレンジをしています。農業部門の責任者は、農業の専門家を採用せずに、自社の若手社員を抜擢しました。
対外的には耕作放棄地の削減や農業従事者を増やし、対内的には社員が安心して生涯働ける環境づくりを実現しています。また来年には、イチゴ関連商品販売の実店舗やイベント出店にも視野に入れており、次なるステップにも挑戦しています。

<イチゴ栽培の温室ビニールハウス、 2019年1月に撮影>

② 教育事業
2019年から教育産業へ進出しています。「英語で預かる学童保育」を展開し、英語力向上による地域の国際力を高める一方で、小学校へのバス送迎による出産された女性の社会復帰や、キャリアアップ支援、共働き世代が課題とする保育所不足の社会問題にも向き合っています。
施設の中では黄色の線や赤色の線で仕分けられていました。施設内ルールで、赤色の線を越えると英語しか話せないそうです。

<学童保育施設「Kids duo 豊橋西」にて現地視察>

竹内社長は、若手の育成と新入社員の採用に注力しながら、IT化とAIの導入により、業務の効率を大幅に上げ、社内の働き環境の改善と賞与の目標化の推進を進め、社員の自主的な考え方を受け入れるなど、一連の改善改革に取り組んでおられました。会社を訪問し、従業員同士のコミュニケーションも活発に行われているように感じました。
また、地域性の高い新規事業を立ち上げて、社員の今後の社会的課題を解決しようとしています。「三方良し、共存共栄」の精神で、社会貢献のできる一流の中小企業に邁進しています。
しかし、100歩先を目指すなら、1人の100歩よりは、100人の1歩の力が遙かに大きいです。一人の知恵と知識はとても及びません。だからこそ出会いやご縁を大切にし、お客様との信頼関係をつくり、お客様から歓迎され、応援されたい、協力されるような関係性をつくっておられるとのこと。
最後に「人生とは仲間づくり」このような言葉で勉強会を締めて頂きました。
仲間とは家族であり、社員であり、お客様であり、仲間との出会いによって人生は豊かになっていくことに違いないです。竹内社長の素晴らしい考え方や、行動力に、感動しました。これからも応援し続けていきたいと思いました。

今回の株式会社丸金商会の企業視察に参加し、貴重な体験をさせていただきました。竹内社長は事業承継をされて3代目社長に就任した時、33歳の若さでどれほどの責任感とプレッシャーを感じたか目に浮かびます。先代の信念と意志を受け継ぎながら、時代に合わせた改善改革も適切に進めていかなければならない。大切なお客様、社員のことを思っているからこそ、人との繋がりを大切にしています。一生懸命にお役立てをしたいとの思いで事業をやってこられ、現状に満足せずに、地域、お客様と社員の将来のために何をやるべきかを常に考えて行動に移しているところがとても感心しました。私も竹内社長のようによく学び、人とのご縁や繋がりを大事にして、目の前のことに全力で取り組みながら、人に喜ばれる、必要とされる人間になります。

<現地視察参加者の記念撮影>

今回の優良企業ベンチマークには、若手経営者の方にも多くご参加頂きました。
今月25日には、まるの会若手の会「未来ビジネス研究部」の企画として、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞を受賞している株式会社八天堂を視察します。皆さまの気づきと学びの一つの機会となれば幸いです。
「未来ビジネス研究部」 の活動は年間を通じて開催しています。是非にご確認下さい!

<案内:9/25 八天堂(広島県三原市)現地視察>
https://bit.ly/33s0OVi
< 案内:9/25 八天堂(広島県三原市)オンライン>
https://bit.ly/2ZF6GZZ

<活動報告:6/25 吉村(静岡県焼津市)現地視察>
https://bit.ly/35C1ie0