今回は、東海地方を代表する優良企業2社を訪問視察させて頂きました。コロナ再発の感染拡大も考慮し、オンラインとのハイブリッド開催となりましたが、このような環境の中、視察と講演、オンライン視察の開催まで快く受け入れて下さった企業様、遠方からご参加頂いた皆様、そしてご多用の中で企画の提案からセッティングまで動いて下さった部員の皆様、本当に有難うございました。

名古屋でつくり、世界に届ける

株式会社ネオレックスは、名古屋発のIT技術ベンチャー企業です。本社は名古屋、東京支社は神楽坂にあり、社員44名(内役員4名)が在籍しています。本社及び研究開発拠点が名古屋市熱田区伝馬町(旧東海道沿い)に、マーケティング機能及びショールームが東京の神楽坂にあり、古く歴史ある街から、新たなビジネスを発信しています。NEOREXという社名は、「真のニーズに応え、独創的な技術をもって、広く世界に貢献する」という創業の思いを込め、“NEEDS(ニーズ)”、“ORIGINALITY(オリジナリティ)”、“EXPANSIVE(エクスパンシブ)”という3つの単語の最初の2文字を取って名付けられたそうです。

自社での企画、開発、提供にこだわっている当社の商品;クラウド勤怠管理システム「バイバイ タイムカード」は、大規模市場で国内トップシェアを誇り、様々な勤務形態に対応し、全国で一括管理可能な特長を持っています。また、iPhoneアプリ「MyStats」は、世界94ヶ国、24万人以上にダウンロードされています。さらに2015年にスタートした新規事業、iPadアプリ「タブレット タイムレコーダー」は、グッドデザイン賞を受賞し、3500社もの企業が導入をしている商品です。

<駒井CEOご講演の様子>

「関わりを持った人はすべて幸せであって欲しい」という創業者の想いを引き継ぎ、「メンバー(従業員)は家族」という考えの下、“幸せのための経営”を推進し、2017年には日本で一番大切にしたい会社大賞受賞、書籍『ニッポン 子育てしやすい会社』(坂本 光司著)に取り上げられ、社員の平均的な子どもの数は2,332人になりました。

幸せのための経営

当社は、“部下”、“指示”、“やらせる”という言葉は使いません。また、「追いかけない営業」、「追いかけない採用」、「個人面談」、「クラス別要件」などに取り組んでいらっしゃいます。

特に「個人面談」は、社員全員が、社長とCEOとの面談を定期的に行うそうです。場合によっては2時間をかけることも。面談では、お互いに何を話してもいいと言います。例えば、“社内制度の改善案”といった業務上の要望もあれば、“結婚をした、子どもが産まれた”といったプライベートの報告もあります。中には新しく覚えた楽器を披露する社員もいるそうです。このように、社員一人ひとりと時間をとって話すことを、とても大切にしており、価値観の共有やすり合わせをされているようでした。

また「クラス別要件」は、役職がいっぱいになってしまいポストに空きがない結果、役職になれないという問題をなくしたい、という想いから、クラス(段位)を設けることでの人事評価に取り組んでいらっしゃいます。クラスごとに定められた要件(人間力、仕事力、技術など)を全て満たすと、クラスが上がります。全社員が最上段になることも可能です。会社が何を求めているのか、どういう在り方が評価に繋がるのかを、より明確にすることで、目標やビジョンが見えやすく、モチベーションに繋がるのだなと感じました。

研修制度

研修制度にも社員への愛をとても感じることができました。「NXDOORS」では、新人研修の一環として、1回あたり1~2時間のカリキュラムで、技術、ITの基本構造について学びます。実際に一からLANケーブルや、パソコンの作成もします。技術だけではなく、根本からを学ぶことで、その結果、習得した技術がどのような道に繋がっているのかを思考する力が身に付く。自らが扉を空け、俯瞰して眺め、自分の興味がどこにあるかを再認識することが出来ると言います。社員同士が常に一緒に歩んでいく安心感があり、まさに社員は家族なのだということが体現されていました。

また、「ネオレックスプロジェクト」では、実務外のプロジェクトを立ち上げています。例えば、社内のメールシステム改善や制度の変更といった内容のプロジェクトです。そこでは若手が中心となり、自分たちでチームの編成をしていきます。社内プロジェクトに取り組むことで、ゴールはどこなのか、目的や段取りなど、仕事の組み立てが自然と出来るようになるとのことです。実務において、若手は自分より優秀な技術者に頼りがちになってしまい、業務を任せる際に十分な実力を発揮できない場合があります。そこで事前にプロジェクトのリーダーを務める機会を提供することで、若手に自信をつけてもらい、能力を身に着ける支援を行っています。

2030 VISION

ネオレックスには、『人を幸せにするIT企業として知られている、マネされている会社になっている』といった、2030年までの長期ビジョンがあります。社員が80人になり、海外進出もしている。現在の自分達の立ち位置と進捗をしっかり把握した上で明確なビジョンを描き共有しています。遅れているから無理をすることでも先行しているから減速することもありません。そのビジョンがオフィス各所に飾られ、社員一人ひとりに浸透をしています。目標ではないので、ノルマがあるわけではありません。このように、当社、は社員に自分たちがどこに向かっているのか、ゴールを常に考えるよう、働きかけています。長く勤めていると思考や行動がワンパターン化し、いつの間にか入社した当時のような情熱が失われることが少なくありません。そこで向かう未来を常に明確にすれば、在籍年数に関わらず、社員は一丸となって同じ方向へ歩むことが出来ます。常に会社の未来ビジョンを社員に見せ続けることが、ひいては会社のテクノロジー発展、未来へと繋がっていくのだと感じました。

<おしゃれなオフィスの一角にて>

人を活かし、モノを活かす

日本ウエストン株式会社は昭和45年に創業以来、工場向けウエス(清掃布)やタオル、手袋のレンタル・販売、航空機用の特殊な高級クロスの生産・販売をしている岐阜県の会社です。当社は「人を活かし、モノを活かし」、資源リサイクル活動を通じて、社会貢献することを経営理念とし、会社を「環境と福祉のテーマパーク」と位置づけ、夢と感動と喜びを 創出することを真剣に考え、日々の業務に務めています。「利他の心」の実現を追求したこれまでの取り組みが高く評価され、第2 回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」中小企業長官賞を受賞されました。また製造業にも関わらず、サービス日本一として評価され、経済産業省・平成 24年度「おもてなし経営企業選」にも選ばれています。

日本ウエストンの工場見学では、最初に名前入りの施設案内が配られ、手厚い”おもてなし”で歓迎をされました。個々人に無線機が配布され、機械の作業音がする現場でもはっきりと説明を聞くことが出来たのも、心配りのひとつだと感じました。社員のトイレ掃除や、鉄くずを取り除くキリコ払い機、ウエスの選別やウエス洗濯時に出た汚水の処理、乾燥の様子等を見学することができました。日本ウエストンではリデュース、リユース、リサイクルの循環型再利用をしていて、まさに“モノを活かす”ことを社員に徹底していました。

また印象的だったのは社員全員分の「夢シート」が張り出されていたこと。「夢シート」とは、社員が持つ「一人ひとりの毎年の目標」「死ぬまでにやりたいこと」「自分が言われて嬉しい言葉・自分が言われて悲しい言葉」を紙に落とし込んだものです。自分の夢や目標を言うことは容易ですが、継続して言い続けることは困難なことだと思います。その夢や目標を大きな自分の写真とともに張り出し、周りに常に伝えるのは素晴らしい取り組みです。まさしく「人を活かす」ということは「一人ひとりと向き合う」ことだと実感をしました。

<工場内に張り出された夢シート>

次に会社へ移動したところ、一人ひとり名前入りのスリッパが設けられ、テーブルにはおしぼりから、ドリンク、コースター等あらゆる名前入りのグッズが用意されていました。隣には自分の名前から連想したメッセージが書かれ、おもてなしの心を感じることができました。

また、洗ったウエスを仕上げる工程と、バナナ栽培の様子を見学させて頂きました。当社では担当業務を社員の障害の程度に合わせていて、一人ひとりが輝ける現場を目指しています。例えば、バナナ栽培では農場に来て、元気になれ、大きくなれと声をかけたり、水をあげるといった場合もあるそうです。

<名前の頭文字を使った作詞のおもてなし>

当たり前のことを誰も真似できないまで徹底してやる

当社では、“お客様に信頼されること”、“共に働く仲間への約束”、“環境整備”、“ノーマライゼーション”、“人を活かし、ものを活かす”、“新事業への挑戦”といった定義があります。定義自体に珍しさはないかもしれません。しかし、それを徹底的に掘り下げ、磨き、浸透することが当社では実現出来ているのです。特に印象的だったのは、“環境整備”です。商品、サービスではなく、“身なり、挨拶、車両、社内美化を、日本一にする”という想いが社員全体に浸透をしています。浸透しているからこそ、日々の挨拶からでもその想いは伝わります。今回視察訪問をさせて頂いた参加者一人ひとりにも丁寧にお辞儀をされ、ハツラツと挨拶をする。まさに“当たり前のことを誰も真似できないまで徹底してやる”ことが体現されていました。

また、マンダラチャートを利用した事業計画には目を引くものがありました。経営理念成就の喜びと、共創の職場の航海図と命名されているマンダラチャートは、経営理念を中心に『当社は何屋』『当期目標』『生産技術力成長』『成長・育成』『パートナーとの良好関係』『社会貢献活動』『ファンづくり』『専門スキル習得』といったように分岐をしています。何事にも徹底をするという想いを持ち、日本ウエストンでは『当社は何屋』という部分からお客様満足提供業だと定義をし、お客様一人ひとりに何をすれば満足をしてもらえるのか、徹底的に追求をしています。

“誰にも出来ることを誰にも出来ないほど続ける力”それが日本ウエストンの最大の強みなのだと感じました。基本以上に大切なこと、疎かにしてはいけないことはない。基本的なことをやればやるほど厚みが増し、会社、社員全体が一丸となって日々レベルアップをしているのだと感じました。

<工場入口にて>

今回は全く異なる業種の2社を訪問させて頂きました。考え方が違う中でも共通しているものがあるように感じました。

ネオレックスでは「関わりを持った人はすべて、幸せであって欲しい」といった願いから、お客様、社員、経営陣、皆が幸せになれる仕組みづくりをしています。

日本ウエストンでは、社員をキャストと呼び、「うちのステージで幸せを演じてもらいたい」と願い、障害者の方々が活躍出来る場を模索し、現在も雇用を続けています。

社会や経済の自動化が進み、人の手が不要になりつつある現在ですが、だからこそ人の手だからこそいい、と望む声もあるだろうし、人の手でなければならない、必要不可欠な業種が浮き彫りになってくるはずです。その時に人の幸せになろうという想いに応えられる会社こそが、今後の日本を支え経済を活性化していくカギになるのではないでしょうか。