中田工芸 中田社長講演
まるの会若手の会として発足した「未来ビジネス研究部」、1年を通してカリキュラム勉強会を開催しています。「まんまる実践経営塾」と題して、日本の将来を担う若手経営者が集い、4月から第一期が開講しました。
コーディネーターは、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の審査責任者を務めるコンサルタントの藤井正隆先生(株式会社イマージョン 代表取締役)です。大賞受賞企業や関連企業、各専門家を招いて、経営の「あり方」「やり方」を実践しながら学んでいます。
先日、5月18日には、第2回目の勉強会をオンラインにて開催しました。貴重講演は、中田工芸株式会社の中田修平社長です。
創業約70年の中田工芸(兵庫県豊岡市)は、日本で唯一、国産木製ハンガーを製造、販売している会社です。長年培った技術と経験を活かし2007年、自社ブランド「NAKATA HANGER」を確立しました。
【ビジネスモデルの転換】
アパレルメーカーとともに進展してきた同社は、ショップの店頭やディスプレイ用、ホテル客室や百貨店などに業務用のハンガーを中心に成長してきましたが、商談スペース確保の必要性から南青山にショールームを開設。以降、個人消費者の“こだわり”へのニーズを発掘することとなります。一方で、アパレル業界の景気低迷に伴い、BtoBビジネスからBtoCへとビジネスモデルを転換。これにより利益率が改善し、さらなる成長を遂げてきました。
手作りならでは繊細なフォルムと上品な光沢と、手にすると木の質量感が特徴の「木製工芸品」のハンガー。その価格は、高いものでなんと1本3万円。
2010年に新宿伊勢丹メンズ館での店頭販売開始を皮切りに、高級ハンガーというブランディングが定着し、個人消費者向けの“こだわり”へのニーズを満たすものにとどまらず、結婚式の引き出物や、記念日の贈答品としての新たな市場を獲得ずることに成功してきました。「ふく(福)をかける」縁起担ぎには、マーケティングのセンスも光ります。
「値付けは経営」というように価格競争から離れることで、利益率向上を叶えてきました。値引き交渉にさらされるBtoBビジネスからの転換が功を奏し、また引き続きのBtoB営業も単価交渉でなく総額での交渉をすることで価格を守ることができるようになったと言います。
【ブランド価値と社内改革】
「一流のモノを製造していくなかで、世の中のモノは“どういう人がどういう思いで作っているのか”と興味を持ち始めました。そこで見えてきたのは、環境への配慮や社員の働き方がブランド価値に反映されていることでした」という中田修平社長。職人ばかりの職場に、「NO残業」「チームプレー」「子育て世代への対応」「ジェンダーギャップの解消」など、社会環境の変化に適応しながら、様々な社内改革に取り組んできました。
また、基調講演後は、藤井先生ご指導のもと、前回の視察振り返りやディスカッションが行われました。藤井先生のコンテンツは、Youtubeチャンネル「イマージョン実践経営大学」から、毎日動画配信されています。